ガンマグロブリン大量療法の目的

長男がガンマグロブリン(以下、γグロブリンと記載)療法を始めるに際して「得体の知れない薬を投与されてたまるか」と思いγグロブリン製剤について一晩で調べ上げ、明朝、医師に頭を下げて投与開始をお願いした。私と同じようにお子様が川崎病に罹患してしまいγグロブリン療法を始める・始めた親御さんの助けになれば幸いである。

 

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ガンマグロブリンとは?

γグロブリンとは薬の名称ではなく、免疫グロブリンというタンパク質のことだ。血液中に存在する水溶性の球状タンパク。主にリンパ節や細網内皮系で作られる、人体がウイルスや細菌と闘うための抗体…いわゆる免疫のことである。

このγグロブリンは5種類の抗体から成り立つ免疫システムであり、各々が別の役割を持って人体を守っている。

  • lgE ヒスタミンを放出、アレルギー反応を引き起こす。
  • lgG ウイルスや細菌の出す毒素を無毒化。出産時に胎盤から乳児へ移行。
  • lgM 感染初期にウイルス等を破壊。
  • lgA ウイルスや細菌の侵入を防ぐ。母乳に含まれる。
  • lgD 働きが解明されていない。

 

点滴に使うγグロブリンは?

lgEの出すヒスタミンという炎症成分による毛細血管の炎症が川崎病なのだが、lgGの働きによりこれを無毒化することができる。

点滴に用いるγグロブリン製剤はこのlgGを超濃縮したものだ。lgGの働きによりlgEの暴走を抑制、ヒスタミンの発生を抑える目的である。

献血などにより採取した人の血液から免疫グロブリンを抽出し、滅菌処理等を行い、精製する。一番広く使用されているのは献血ヴェノグロブリンという名称の製剤だろう。

 

グロブリン治療の注意点

感染の可能性が否定できない

人の血液から抽出される成分で作られているため、ウイルスを不活化するための加熱処理やウイルスを取り除く処理は施しているものの、感染の可能性を完全に否定することはできないと言われている。ただ、今までにそのような報告は無いそうだ。

副作用に重篤な症状がある

どんな薬でも一緒だが、副作用などのデメリットとしては重篤なものから軽度なものまである。下記のリンク先を参照していただきたい。

小さい子供にはかなり酷 

24時間は点滴を投与し続けなければならないため、小さい子供にはかなり酷だ。聞き分けが出来ない年齢の場合はベッドに拘束し、点滴を抜かないようにグルグルに巻いて固定することもある。体のために必要なこととはいえ、精神的ダメージが危惧される。

しばらく予防接種が受けられない

麻疹、風疹、水疱瘡、おたふくなどの生ワクチンは、グロブリン療法が終わってから6ヶ月間は摂取を延期することとなる。体内に残っている免疫が働き、予防接種の効果が抑制されてしまうためだ。不活化ワクチンは影響を受けないが、念のため2ヶ月ほどあけると良いと、指示を受けた。

急性期におけるグロブリン療法は必須

私はグロブリン療法を受けて良かったと思っている。急性期の症状は驚くほど良くなるのだ。やはり急性期の症状を早く落ち着けることが川崎病においては最重要であるため、迷うぐらいなら投与していただきたい。(親としては医師を信頼して投与する他ないのだろうが、安心して医師に任せて欲しい)

 

※この記事に関しては随時加筆・修正を行なっていきます