川崎病におけるステロイド治療とは

我が子は再発時に重症と診断されてしまい、グロブリンだけでは効かないだろうということでステロイドの治療を行った。今回はステロイドについて記載していく。

 

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ステロイドとは

子育て中の親御さんなら、アトピーなどの皮膚炎に使われる塗り薬として耳にする機会も多いだろう。ステロイドとは、もともと人体が副腎から分泌している抗炎症作用のある副腎皮質ステロイドホルモンと呼ばれるものである。強いステロイドを使えばどんなに酷い肌の症状も一晩で綺麗になることもあるほど、その効果は大きい。ただ、それだけ強力なために「脱ステロイド」を謳う医師や親御さんも少なくない。

もちろん、用途、用法用量によっては危険である場合もあるのだろうが、川崎病をはじめ、人体を壊してしまうほどの炎症反応が起こった場合においてはかなり有効であり病気によっては必要不可欠な成分であると言える。

ステロイドにもいくつか種類があるのだが、ここでは糖質コルチコイドと呼ばれるホルモンに限定させていただく。この糖質コルチコイドは炎症や免疫を抑制し、血糖を上げる作用がある。

 

 

川崎病におけるステロイドの役割

その名もパルス療法

3日間、ステロイド薬を大量に点滴する方法が、ステロイドパルス療法です。
具体的には、1gのステロイド薬を、ブドウ糖液250~500mlに溶かしたものを1~2時間かけて点滴で静注していきます。 これを3日間続けていきます。

パルスには「衝撃」という意味があり、大量のステロイド薬を投与する療法は、”劇的な効果を得る” ところからパルス療法と呼ばれています。

ステロイドパルス療法とは

パルス療法の川崎病における目的は、糖質コルチコイドを真似た化学構造で作ったステロイド薬を用いて、免疫暴走による強い炎症反応を抑制することが目的である。(免疫や炎症反応と川崎病の関連については下記の記事にまとめているため、参考にしていただきたい)

パルス療法を行うボーダーラインは?

我が息子のお世話になっている多摩小児総合医療センターでは、詳しいことは教えてもらえなかったのだが、炎症反応や症状、検査結果を基に川崎病の重症度に対して点数をつけているそうだ。これが5点以下であればステロイドの投与は必要ないのだが、息子の場合は8点だった。5点を超えるとグロブリンの効果だけでは症状が改善しづらいと判断され、パルス療法を実施することになる。

なお、ここの判断がしっかり出来ないと、何度も何度もグロブリンの投与を繰り返すことになるため、医師の手腕によるところとなるがこればっかりは未解明の難病なので医師を責めることもできない。なるべく経験豊富な医師がいる病院を選ぼう。

 

ステロイド長期投与の注意点

次に、ステロイドの長期投与を行った場合の主な注意点を記載する。

風邪をひきやすくなる

免疫抑制の作用がある…ということは、単純に風邪をひきやすくなるということだ。グロブリンの効果で免疫が強くなるのでは?と疑問に思う方もいらっしゃると思うが、投与している期間はステロイドが断然多い。そのため、結果的に免疫力は下がってしまうのだそうだ。

副作用が目立つ

副作用については下記のページが最もわかりやすいので参考にしてほしい。

ステロイド系抗炎症薬の副作用 - Wikipedia

我が子は下痢が続き、顔が丸くなり、お腹が妊婦のように突き出た。食欲旺盛で普段は食べない野菜もモリモリ食べたので、悪いことばかりではない。前向きに考えよう。

断薬は一筋縄ではいかない

パルス療法が終わると内服でのステロイド摂取に切り替わる。強いステロイド薬から弱いステロイド薬に減薬していき、1日の摂取量を徐々に減らしていくためだ。

というのも、冒頭で説明したようにもともとステロイドは副腎から分泌されているホルモンであるため、外部から薬で補うことにより副腎はステロイドの生産・分泌をサボるようになってしまうからなのである。そのため、徐々に減薬していくことが重要だ。だいたい1度目の検診が終わる頃まで服用し続けることになる。

多摩小児総合医療センターではかなり細かく検査しており、副腎の値が5を超えない限りは微量のステロイドを内服し続けることになる。息子は退院後すぐの検診の時に1.3という数値だったために、2度目の検診まで飲み続けた。「他の病院ではここまで神経質に診ないし気にしないような部分ではあるんですが」と仰っていたため、そこまで心配しなくても良さそうだ。

 

最後に

他の記事でも何度も書いているが、川崎病において一番大切なことは急性期の症状を早急に落ち着けることである。グロブリンだけでは改善されにくい症状の場合はパルス療法によって確実に落ち着けていく方がリスクが少ないと言えるのではないだろうか。

グロブリンの投与は1度につき24時間かかる。それから24時間様子を見て、症状が再燃するようであれば再度グロブリンを投与する。症状が完全に収まるまで何度も繰り返している間に、時はどんどん過ぎていくのである。

悪いイメージもあるかもしれないが、冠動脈瘤や心疾患のリスクをなるべく下げるためにステロイド投与が必要だと医師に言われたのであれば、受け入れてほしいと思う。

 

※この記事は随時加筆・修正を行っていきます